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柿時代その4

当時、アーティストとしてデビューする道は限られていた。
その一つに公募展があった。
JACA展、日本グラフィック展、オブジェTOKYO展など。
日比野克彦氏を筆頭に、バブル景気もあったせいか若手のクリエイターが活躍していた。

学校のような閉鎖的な場所で評価されるのは面白くなくて、外に出たいと思っていた。
大きな作品を作るには場所が必要。
それまで暮らしていたワンルームではどうにもならず、引越したいなーと思っていた矢先に、知人から物件を紹介された。
場所は西武新宿線「野方駅」徒歩5分。
条件は以下。

二年後くらいに取り壊すのでその時はすぐに出ていくこと。
一軒家の一階を大家さんが、その二階を間借りする。
トイレ、台所等は共有。
家賃三万円。
二階は6畳+4畳半。収納は一間半が二つでそれぞれ戸袋付き。

特に良かったのは、いつか取り壊す物件だから床にペンキをこぼしても何しても構わないということだった。
家賃も安いし何より広い!
一軒家なら音楽を好きな音量で聴けるし夜にドリルも使えるな、と思った。

引越し当日、ビデオ屋のバイト仲間に車を出してもらった。
畳はボロボロだったのでパンチカーペットを敷いて、柱や壁をペンキで塗った。
襖は外して二間を一つにつないだ。
ベランダに落ちていたアンテナを手すりに固定するとテレビもノイズ混じりだったけど映るようになった。14インチの小さなテレビだ。
アトリエ兼住居のようなものが出来上がって、とても心地よかった。

一階の大家さんは東京造形大学の二つ上の先輩で演劇をやっている人だった。
あまり家に居ない人だったのでルームシェアしている感じもなくて、広い家をほぼ一人で使っているようなものだった。
それでもたまに一階に人が居ると気を使っていた。特にお風呂は脱衣所もなく、横にトイレがあるので、着替え中やお風呂を出るタイミングに出くわすとお互いなんとなく気まずかった。

とにかく学生の頃はここで悶々と製作をすることになる。
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by tonpu-2 | 2015-07-07 20:00 | 日常 | Comments(0)

猫、カレー、ラーメン、たまに旅。


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